
謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
昨年は3月の東日本大震災から始まって、ヨーロッパの金融ショック、中東の春、そして、暮れの金正日の死去など、10年に一度あるかないかの大きな事件が一度に起きた、忘れられない一年でした。国内だけでなく、グローバルな視点からも激動の一年といえるでしょう。全ての面で大きな転換期を迎えた年であることは間違いありません。そして、その大きなうねりは今年に入っても続いています。
その中でもとりわけ大きな変化は、人間と自然の関係でした。未曾有の大きな災害を受けて、これまで原子力に傾きかけていたエネルギー資源をまず見直し、それとともにライフスタイルも変わり、その変化は今後ますます進んでいくでしょう。また、世界的に広がる金融不安に関しては資本主義の限界を垣間見たような気がします。さらに貧富の格差の拡大。世界中の人口が70億人を超え、人口増加に歯止めのかからない状態も続いています。わが国と中国や朝鮮の関係をはじめ、アジア情勢もデリケートな状態が続いています。
地域に目を向けてみると、神奈川県でも津波被害に対する新しいハザードマップが公開され、湘南エリアでも注意が必要な場所が発表されました。仕事柄、不動産に関する動向が気になり、取引先や知り合いなどを通して調べてみたところ、賃貸を含めて、既にこの地域で暮らしている人々はそのことを気にはかけても、だからといって転居するなどはほとんど意識していないようでした。しかし、この温暖な気候や恵まれたロケーションに、東京や横浜からの転居を考えていた一部の人々が周囲からの不安とともに二の足を踏んでいるケースもあるようです。
ともあれ、これは湘南エリアだけの問題ではありませんが、千年に一度あるかないかの自然の脅威、想定外の災害を考えていても、何も始まりません。疑心暗鬼に毎日を過ごしているよりも、避難場所であったり、家族がバラバラになった時にどこで集まるかであったり、非常時にどういう対応をするか、防災対策を含めて、自分自身の自己責任の上で、家族や自分の身を守るために、情報として、知識として、さまざまなデータを集めてライフスタイルの設計をしていかなければなりません。
ライフスタイルといえばエネルギーの考え方にも同様なことが言えます。クリーンさ、手軽さ、安全性でもてはやされていた電気エネルギーが地震や津波というアクシデントによって、初めて計画停電や節電という大きな壁にぶつかりました。さらに、原子力発電の継続か撤退か、どうやって代替電力を生産するか、まだ不透明である現在、これまでのような安定供給の保証はどこにもありません。
当然、住まいもこれからは計画停電や節電という事態にも応えられるエネルギーのあり方が要求されてきます。その布石として、太陽光発電、地熱発電などの住宅に対する技術開発が進められ、ガスをエネルギー源としたエネファームへの対応、さらにスマートハウスへの流れが生まれています。電気だけにエネルギーを頼らないハイブリッドなライフスタイルが意識されてきています。
その一方で、自動車も環境の保全だけでなく、震災後に露呈した緊急時のガソリン不足などに対するメリットからハイブリッド車への人気が増し、それが進化したプラグイン・ハイブリッド車や電気自動車もこれから増えていくことは容易に予測できます。
当社でも毎年1回のペースで、皆さまにご提供させていただく住宅の標準仕様を見直していますが、今年はこうした時代背景とその中で迎えたライフスタイルの大きな変化を踏まえた住まいづくりが設計や施工に求められていることをひしひしと感じています。
日常生活に必要なエネルギー源をどのような方法で確保するか、断熱性など住まいの基本性能を高めて快適に暮らすためのエネルギーをどこまでセーブできるか、プラグイン・ハイブリッド車や電気自動車の所有に備えて外構の一部に電源を確保するか...。
昨年、まれに見る大きな災害と尊い犠牲の中から改めて安全で快適な暮らしの大切さを学びました。今年は、その教訓を未来につなげていくための第一歩にしていきたいと考えています。
今年もよろしくお願いします。


