TOP >>社長のコラム >>ゆとりと価値観  

社長のコラム

ゆとりと価値観

みなとみらい地区

2009年の新築住宅の着工数が80万戸割れ、約100万戸と言われている例年に比べると2割も減少しているようです。おかげさまで、当社は例年よりもわずかながらプラスで推移していますが、住宅業界として、厳しい事実として受けとめなくてはなりません。そして、その理由は景気の低迷だけではないようです。

新築のマンションが減っている中で、中古マンションの在庫が増え、価格がこなれていることもあって、流通が活発になっています。その一方で、横浜みなとみらいのマンションのように、人気が集まり、中古価格が新規販売時の価格よりも上回ったり、5000万円を超える高額マンションが短期間で完売していたりするケースも見られます。

かつてマンションと言えば、土地を分割所有するために、土地取得に必要な費用を抑えることによって、低価格で住まいを手に入れられるというメリットが売りでした。そのためにあまり予算がかけられない、比較的年齢の低い購入者、一時取得者をターゲットにした物件が多く、実際に購入者もそうでした。

しかし、マンション物件の多様化とともに、購入者も変遷し、都心や商業地に住むことの生活の利便性に価値を見いだす人々に求められるようになって来ました。子育ての時代を郊外の一戸建て暮らしていた夫婦が、子どもたちの独立とともに、外出や買い物に不便で、住まいの維持管理も大変な一戸建て住宅を売却し、都心に近くて、駅にも近い、高層の分譲マンションを購入するケースも多く見られるようになってきました。時代とともに、モノや生活スタイルが増えてくるに連れて、人々の価値観も多様化し、また、変容しているのです。そして、これまでのように「とにかく一戸建て」というご家族も減少しているのかもしれません。

考えてみると、価値観の形成に大きな意味のある教育自体も大きく変化しています。詰め込み教育、知識への偏重から子どもたちの生活を守るために考えられた「ゆとり教育」。
1970年代から30年もの歳月をかけて話し合われ、2002年にやっと「週5日制」や「総合的な学習の時間」の導入、教育内容の見直しなど、具体的に改革を進められたものが、それから10年を経る前に、学力低下、学力の格差拡大などの問題にぶつかり、行き詰まり、転換点を迎えることになってしまいました。その間、ゆとり教育の目的であった不登校やいじめなどの問題の解決も一向に果たすことはできず、ゲームやインターネットの氾濫とともに、また、新たな問題を生み出している傾向もあります。

仕事でも、忙しければ忙しいなりに「いい仕事」ができます。適度な緊張感とともに、いろいろな発想が湧いてきたり、密度の濃い仕事ができています。忙しさとともに、いつの間にか仕事に対するキャパシティが大きくなっていくような気がしています。それができるようにするためにも、基礎教育は徹底的にしていくことが必要だと考えます。もちろんいい意味でのゆとりも必要です。でも、そのゆとりを、はじめから作り出すようなゆとりではなくて、生活や仕事や勉強など、さまざまな時間や要素の中からやりくりして作り出す時間の余裕ではないかと思います。そして、それは住空間の中に見られる空間のゆとりとも共通するように思えるのです。

過去の記事(年別)